후리가나로 읽는 일본 고전
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 文藝別冊[総特集]岡本綺堂(いけぶくろのかい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 72,671자 · 149화면
のではあるまいかと、一同協議の上で、その翌る朝更に小舟を漕ぎ出し、夜な夜な影の迷う辺を其処か此処かと棹で探ると、緑伸びたる芦の根に何か触る物がある、扨はと一同立騒いで直ちに此れを引きあげると、思いきや此れは年頃二十三四とも見ゆる町人風の男で、荒縄を以て手足を犇々と縛られたまま投込まれたものと覚しく、色は蒼ざめ髪は乱れ、二目と見られぬ無残の体で、入水後已に幾日を経たのであろう、全身腐乱して其の臭気夥多しい、一同アッと顔見わせたが兎も角も其死体を舁き上げ、上に其次第を届け出でて、それぞれ詮議に手を尽したが、この男は何者とも分らず、随って其の死因も分らず、いわんや其の下手人も分らず、詮議も竟に其なりけりに済んで了ったとは、何ぼう哀れなる物語。で、彼の怪しい人かげは、正しく此の水死者の幽魂が夜な夜な形を現わして、未来の救護を乞うたのであろうと云う噂で、これを思えば死者に霊無しとも云われまいと、現在その死体を引きあげた一人の昔噺。世にはかかる不可思議の事もあるものか。
(『文藝倶楽部』02年5月号)
*〈日本妖怪実譚〉より。署名は「不語堂」