후리가나로 읽는 일본 고전
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 72,671자 · 149화면
しかしその場所といい、背中の子供といい、盆燈籠といい、なんだか同一人ではないかと疑われる点が多い。いわゆる「死相」というようなものがあって、今や死ににゆく女の顔に何かの不思議があらわれていたのかとも思われるが、それも確かには判らない。
明治七年の春ごろ、わたしの一家は飯田町の二合半坂に住んでいた。それは小さい旗本の古屋敷であった。
日が暮れてから父が奥の四畳半で読書していると、縁側にむかった障子の外から何者かが窺っているような気勢がする。誰だと声をかけても返事がない。起って障子をあけてみると、誰もいない。そんなことが四、五日あったが、父は自分の空耳かと思って、別に気にも留めなかった。
ある晩、母が夜なかに起きて便所へ行った。小さいといっても旗本屋敷であるから、上便所までゆくには長い縁側を通らなければならなかった。母は手燭も持たずに行くと、その帰り路に縁側のまん中あたりで、何かに摺れ違ったように感じた。暗い中であるから判らなかったが、なんだか女の髪にでも触れたように思われた。それと同時に、母は冷や水でも浴びせられたようにぞっとした。勿論、それだけのことで、ほかには何事もなかった。