후리가나로 읽는 일본 고전
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 72,671자 · 149화면
近所のことであるから、従来出入りの酒屋が引きつづいて御用を聞きに来ていた。
その酒屋の御用聞きが或る時こんなことを言った。
「妙なことを伺うようですが、以前のお屋敷には別に変わったことはありませんでしたか。」
女中は別に何事もなかったと答えると、かれは不思議そうな顔をして帰った。それが母の耳にはいったので、あくる日その御用聞きの来た時にだんだん詮議すると、わたしの旧宅はここらで名代の化物屋敷であることが判った。どういう仔細があるのか知らないが、その屋敷には昔から不思議のことがあって、奥には「入らずの間」があると伝えられている。維新の頃、それを貸家にするについて、入らずの間などがあっては借り手が付くまいというので、その一間も解放してしまった。それを私の父が借りたのである。
近所ではその秘密を知っているので、今度の人はおそらく何んにも知らないで引っ越して来たのであろうが、今に何事かなければよいがと蔭でいろいろの噂をしていた。酒屋でも無論に化物屋敷のことを承知していたが、まさかにそれを言うわけにも行かないので、これも今まで黙っていたのであった。その問題の化物屋敷も今度焼けてしまったので、酒屋の者も初めてその秘密を洩らして、そこに住んでいるあいだに何か変わったことは無かったかと訊いたのであるが、こちらにはこれぞと