후리가나로 읽는 일본 고전
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 72,671자 · 149화면
」と、年の若いお菊は顫えながら訊いた。
「約り若旦那がお前と密通していて、お前が心中を仕掛けたと云うことになる。そうすれば、若旦那も離縁になる。それがお店の為でもあり、お嬢さんの為でもある。勿論、皆なが承知のことだから、決してお前に科も難儀もかけまい。それを首尾よく仕負うせれば、お前もお暇になる代りに、十両のお金と別にお嬢さんの黄八丈のお小袖を下さる。お前それでも忌か。」と、お久は黄八丈という詞に少し力を入れて低声で云い聞かせた。
この春お熊が母と一所に回向院のお開帳へ参詣した時に、お菊も供をして行った。お熊の黄八丈の小袖が群集の中でも眼についた。店へ帰ってからお菊は嘆息を吐いてお久に囁いた。
「妾も一生に一度でも可いから、あんなお小袖を着て見たい。」
お久はそれを能く記憶していて、今度の褒美に黄八丈の小袖を懸けたのであった。十両の金よりも、黄八丈がお菊の魂を唆かした。しかしそんな大それたことを引受けて可いか悪いか、彼女にも容易に分別が付かなかった。
「又四郎は心の好くない者だから離縁したいと思っているが、そこには何かの科がなければならない。お前が唯少しの微傷を負わせてくれれば可い。