후리가나로 읽는 일본 고전
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 72,671자 · 149화면
思えば思うほど阿母さんが怨めしい、憎らしい。世間には親の病気を癒す為に身を売る娘もあるそうだが、寧そその方が優であったろう。」
お熊は声を忍ばせて泣いた。彼女の痩せた肩が微におののく度に、行燈の弱い灯も顫えるようにちらちらと揺れて、眉の痕のまだ青い女房の横顔を仄白く照していた。今の水々しい美しさを見るに付けても、その娘盛りが思い遣られて、お菊は若いお内儀さんの悲しい過去と現在とを悼ましく眺めた。
「ねえ、お菊。くどいようだけれども、承知しておくれでないか。阿母さんも流石、娘が可哀そうになったと見えて、この頃では何うかして又四郎を離縁したいと色々に心配してくれているようだけれど、何しろ五百両という金の工面は付かず、こんな辛い思いをして何日までも生きている位なら、妾はもう寧そのこと……。」
遣瀬ないように身を悶えて、お熊は嗚咽の顔をお菊の膝の上に押付けると、夜寒に近い此頃の夜にも奉公人の寝衣はまだ薄いので、若い女房の熱い涙はその寝衣を透して若い下女の柔かい肉に滲んだ。お熊の魂はその涙を伝わってお菊の胸に流れ込んだらしく、彼女は物に憑かれたように、身を顫わせて、若いお内儀さんの手を握った。