후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 187,841자 · 376화면
狐狸のわざにはあらず。空にしたものは三ぺい也。うま、留守ばんにあずけおく。こんど通過の折まで、よく草を喰わせて肥やしおくべし。
三平が出て行こうとすると、馬は別れを惜しんで、ばたばたと羽目板を蹴った。
無情な飼主は、ふりむきもしない。その蹄の音へ、がたッと戸を閉め、こんどは持ち前の両脛で、飛ぶが如く――というのも大げさだが、何しても身軽そうな迅足で、南巨摩の山地へいそいで行った。
もとより彼のさしてゆく方向は甲府であった。駿遠方面から本国へもどって来たものであることもいうまでもない。日ごろの健脚に一倍風をきッて行く様子から見ると、何かよほど急を要する情報でも携えているらしく思われる。
次の日の朝には、早くも彼のすがたは幾山をこえて、脚下に富士川の水を見ていた。山峡のあいだに見える屋根は鰍沢の町だった。
「まず、午過ぎまでには」
と、そこで甲府に着くまでの時間と歩速に、すっかり見込みがついたらしく、ひと休みして、甲斐盆地にも訪れている夏の日をながめていた。
「どこへ行っても、いくら山国の不便や損はあっても、やっぱり己れの国ほどいいところはないなあ」
つぶやきながら、膝をかかえていると、夥しい馬の列が、背に漆桶をつけて、何十頭か数も知れないほど、麓から追われてのぼって来た。