후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 187,841자 · 376화면
信茂の声はいつになく弾みあがっていたし、馬上のままなのであたりへもよく聞えた。
「お館、お館ッ。敵の一万を捕捉して、みなごろしにする機は、いまを措いてありません。ただ今、味方の抑えに向って攻めかかる陣容を物見してまいりましたところ、各隊一段備えに、鶴翼のかたちを展げ、一見、大兵と見えますが、二陣、三陣とも奥行はうすく、家康の中軍とても、たかの知れた小勢で守られているに過ぎません。――のみならず旗幟甚だととのわず、わけて援軍の織田勢には、戦意のないこと明らかです。機をはずさずお懸りあれば、勝算は歴々」
ことばのうちに信玄はうしろを見て、
「物見番。見とどけて来い」
語気を聞いて信茂はすこし駒をさげ、そのままひかえていた。
物見番の室賀信俊と上原能登守が、ただ二騎で駈けて行った。――敵は味方の何分の一しかない小勢と知れていながら、念に念を入れて、かりそめにもうごかない信玄の落着きかたを、信茂は充分敬服はしていたが、やはり、
「兵機は電瞬の間、いまを逸しては」
と、悍馬が前脚で土を掻くような焦躁をどうしようもなかった。
室賀、上原のふたりは、駒を躍らして帰って来た。