후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 187,841자 · 376화면
門なきも、門あり。
門あるも、門なし。
これをいかに見るやと、質問を出して、こちらを計っているように、濠の水は黒く、満城の雪は白く、寂として、物音ひとつ聞えないのである。
もし耳をすませば。
バチバチとはぜる篝の薪の音が遠く聞えて来たろう。またもっと心耳を凝らせば、本丸のうちに、無門の胸襟をそのまま手枕の一夢をむさぼって、
(――妄動何かせん。観ずれば死生は一瞬の風裡。悠久は天にあり、死を帰すも天、生を托すも天)
としている敗軍の将家康の鼾声も聞えて来たかも知れないのである。
けれどそれは、心耳なくては聞えないものだった。昌景は云った。
「味方の追撃があまり早かったので、敵は狼狽のあまり、城門を閉じるいとまもなく、鳴りをひそめてしまったものと思われる。いざ、攻め入ろう」
「いや、待ちたまえ」
馬場信房はさえぎった。
美濃守信房といえば、信玄麾下のうちでも有数な武将であり兵学の巧者であった。
智者は智を修めて智に溺る――
かれは断じてその不可なことを昌景にむかって説いた。
「この場合、競って、門を固めるのは、敗北の自然な心理である。諸所に篝を焚くいとまをもちながら、門扉をひらいておくのは、彼に怯気なく、沈着のある証拠といえよう。