후리가나로 읽는 일본 고전
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りりょう
李陵・山月記・弟子・名人伝
中島 敦의 李陵・山月記・弟子・名人伝(りりょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 65,013자 · 129화면
許されて自宅に帰り、そこで謹慎するようになってから、はじめて、彼は、自分がこの一月狂乱にとり紛れて己が畢生の事業たる修史のことを忘れ果てていたこと、しかし、表面は忘れていたにもかかわらず、その仕事への無意識の関心が彼を自殺から阻む役目を隠々のうちにつとめていたことに気がついた。
十年前臨終の床で自分の手をとり泣いて遺命した父の惻々たる言葉は、今なお耳底にある。しかし、今疾痛惨怛を極めた彼の心の中に在ってなお修史の仕事を思い絶たしめないものは、その父の言葉ばかりではなかった。それは何よりも、その仕事そのものであった。仕事の魅力とか仕事への情熱とかいう怡しい態のものではない。修史という使命の自覚には違いないとしてもさらに昂然として自らを恃する自覚ではない。恐ろしく我の強い男だったが、今度のことで、己のいかにとるに足らぬものだったかをしみじみと考えさせられた。理想の抱負のと威張ってみたところで、所詮己は牛にふみつぶされる道傍の虫けらのごときものにすぎなかったのだ。「我」はみじめに踏みつぶされたが、修史という仕事の意義は疑えなかった。このような浅ましい身と成り果て、自信も自恃も失いつくしたのち、それでもなお世にながらえてこの仕事に従うということは、どう考えても怡しいわけはなかった。