후리가나로 읽는 일본 고전
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
山本 周五郎의 柳橋物語(やなぎばしものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 104,300자 · 202화면
……おせんはごく幼い頃から、一日じゅう杉田屋の家で遊び暮すことが多かった。巳之吉も妻のお蝶も子供が好きなのに、一粒だねの女児が生れて半年めに死んでしまい、そのあとずっと子が無かったので、おせんがまだ乳ばなれもしないうちから、よく来ては「なんだか膝さびしくって」などと云っては抱いてゆきゆきした。おせんのほうでもお蝶によく馴ついて、自分の家は狭くるしく陰気で、子供ごころにもなにやら息詰るような感じだったが、杉田屋は座敷も広く人も大勢いて賑やかだし、そこにはいつも玩具や菓子が待っていた。着物や帯もずいぶん買って貰った、春秋には白粉を付け髪を結い、美しく着飾って、そのころ杉田屋にながくいた定五郎という老人の背に負われて、巳之吉夫妻といっしょに花を見にゆき、秋草を見にいった。王子権現の滝も、谷中の螢沢も、本所の牡丹屋敷も、みなそうして知ったのである。
――おせんちゃん、小母さんの子におなりでないか、そのじぶんお蝶はよく頬ずりしながらそう云った。するとおせんは生まじめな顔になり、いかにも困ったというように首をかしげながら、あたしおっかさんの子でなければおばさんの子になるんだけれど、きまってそういう返辞をしたそうで、そんな幼さに似あわない、情の籠ったようすだったと、後になってからよく聞かされた。