후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
らくになったというはなし
楽になったという話
山之口 貘
山之口 貘의 楽になったという話(らくになったというはなし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 2,208자 · 5화면
とにかく、靴も高くなった。にも拘わらず、僕は一足の新らしい靴を買ってしまったのである。僕の状態を知っている側の人に言われるまでもなく、身分には不想応な感じもするのであるが、十三円五十銭を投げ出すようにして、この足の野郎を満足させてみたのは今度が生れて初めてなのである。
神楽坂通りの靴屋で買った靴だ。街上一面に右往左往している家鴨の口のようなあの平べったい格好のものとは違って、蔵のようにまるぽっちゃい靴先で、色は勿論、苺とは違って黒なのである。足の大きさは、僕にも似合わず九文七分というきゃしゃな足を持っている。この足を見る度に、僕の永い間の「歩いた生活」のにおいが漂ってくるのを感じるのである。実際、僕はよく歩いた。歩くことを生活していたようなものだ。なんのためにそんなに歩いてばかりいたかは、例によって、僕の浮浪人生活に触れなくては言えないのであるが、東京での生活十六年分の半分近くは、市中を歩き暮していたので半分位が特殊な期間であった。特殊な期間というのは、看板屋の見習とか書籍問屋の発送部員とかお灸学校の通信事務とか衛生屋とかの仕事をした期間のことで、仕事をした期間を特殊にしなくてはならない程、僕の生活はぶらぶら歩いてばかりいたかのようなのである。