후리가나로 읽는 일본 고전
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えのきものがたり
榎物語
山本 周五郎
山本 周五郎의 榎物語(えのきものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 33,519자 · 67화면
旅の隠居から聞いたときはそう思っただけであるが、かなり月日が経ってからふと思いだすと、それが自分の身の上のようにも感じられた。越重の息子の安二郎と、江戸にいる筈の国吉。そして自分とかれらとのかかわりが、お玉の場合のように不吉ななりゆきになるのではないか、という考えがうかび、いそいで打ち消しても、思いだすと不安な気分になるのであった。
大榎から二段ほどうしろの、丘の上にある住居からは、坐っていても魚野川が見えた。家は二た間に勝手だけで、井戸はないけれども、背後の崖に湧き水があり、樋で勝手へ引いてあるのが、いくら使っても余るほど豊かであった。近くには会津若松藩の、山方に属する樵長屋があるので、淋しくもなかったし、また、冬のあいだはその長屋の子供たちに読み書きを教えるので、くらしの足しにもなった。――越重の安二郎はもう二十六歳になる。山津波のとき救われたさわは、半年あまり越重の世話になった。越前屋は小出でも指折りの資産家で、さわのほかにも遭難者を十人あまり、自分の持ち家へ引取って世話をしたが、どういうわけかさわだけは格別な扱いで、親きょうだいの死躰もわからないと知ると、好きなだけこの家にいるがよい、と云ってくれた。