후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
ない、ある限りの力で耐え忍び、耐えぬくのだ、これは亡き周防どのの遺志として、覚えていてもらいます」
主水は静かに低頭した。
甲斐は俯向いて、十左衛門が「ここだ」と杖で打った、裸の地面を見まもった。そうして、誰かに囁きかけるような、低く、やわらかい声で暗誦した。
「――このほどこころざし侯て、宿老のためとらわれとなり申し候、いにしえのおうとうのごとく、くるしみをうけ候えども、のちの世きく者、かんぜざらんことあるべからず、すこしもかなしみはなきものなり」
それは七十郎の遺書の一節である。十左衛門の眼から涙がこぼれ落ちたが、声は出さなかった。
「七十郎は七十郎らしく死んだ」と甲斐は十左衛門に云った、「彼は自分が、烈士として後世に残ることを信じていたのだ、彼のために悔やむことはないだろう、十左衛門、これからは身の保養につとめるがいい、――なが話しで日が昏れてしまったようだ、帰るとしようか」
「どうぞ」と十左衛門が会釈した、「私は伜が迎えにまいります、どうぞお先に」
甲斐はじっと十左衛門を見まもった。すっかり平静になった眼つきで、もう会うおりはないなとでも云うように、五拍子ばかり見まもっていて、それから、主水といっしょに去っていった。