일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면

아오조라 문고

宇乃は「はい」と云った。

「おいで」と甲斐は両手をひろげた。

甲斐のその動作は、暗くてわからない筈であるが、宇乃は静かな足どりで、まっすぐに来て、ひろげられた両手の中へ、やわらかに身をすりよせた。宇乃のからだは溶けてしまいそうに柔軟で、あたたかく、軽かった。

「宇乃」と甲斐が云った。

「おじさま」と宇乃が答えた。これで二度めだな、と甲斐は思った。芝の良源院でいちど抱いたことがあった。良源院の高廊下で、宇乃はまだ十三歳であったが、そだち始めたからだの、なだらかな線や堅いまるみが、吸いつくように密着し、そして甲斐は自分と宇乃とが、もっとも深いところで、放ちがたくむすばれるのを感じたのだ。

――おじさま死んではいや。

宇乃はそのときそう云った。いま宇乃は二十一になる。甲斐には江戸番があって、一年交代の任期がしばしば延びるし、帰国しているときでも、二人だけで話すという機会はごく稀であった。こうして抱くのは八年ぶりのことだが、二人が疎遠だったという感じは、甲斐にはまったくなかった。いま抱いているからだの、ぬくみを通じて、宇乃はやはり彼に呼びかけていた。

――死んではいや、おじさま、どうぞ生きていらしって。