후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
玄四郎は声に出して呟いた、「おれ一人なら、――だがあの方がいる、あの方はおれなどとは比べようもないほど、苦しい、困難な立場にいるのだ、茂庭周防どのに死なれてからは、その困難さも幾層倍かになっているに違いない」
彼は立停って空を見あげた。
――侍の「道」のためには、不忠不臣の名も甘受しなければならぬばあいがある。
甲斐はそう云った。
――おれの頼みは無法なものだ、しかし、どうしてもそうしなければならない、ということをわかってくれ。
そしてまたこうも云った。
――こういうとき侍に生れ、おれのような主人を持ったのが不運だった、おれを憎め、おれを恨め、だが役目だけははたしてくれ。
常にない激しい表現で、甲斐はそう云ったのだ。今日まで玄四郎を支えて来たのも、その言葉と、言葉ではあらわせない甲斐の苦衷を知っているからであった。
「おかしなものだ」と呟いて、玄四郎は唇を曲げた、「あのときおれは自害するつもりだった、原田夫人のために腹を切るつもりだったし、この酒井家へはいるに当っては、一命を捨てる覚悟だった、……それが、いまはこんなに平安な生活にあこがれている、人間とは弱いものだ、あれだけの覚悟をしたにもかかわらず、僅か五年余日、安穏なくらしをして来ただけで、そのくらしに馴れ、そのくらしを毀したくないと思うようになる、そして