후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
「おい」と六郎兵衛は手を叩きながら、声いっぱいにどなった、「誰かいないか、おい」
返辞の声がして、廊下をいそぎ足に女が来た。客が混んでいるので、と詫びながら、女は膳の上へ燗徳利を置き、酌をした。
「汁椀があるだろう」
「ございます」と女が云った、「あら、なにも召し上らないんですか」
「汁椀をあけろ、それで飲む」
「ではべつのを持って来ます」
「いいからそれをあけろ」
「でもここではあけようがありませんから、ちょっといって持って来ます」
「立つな」と六郎兵衛は云った、「きさま客を嘲弄する気か」
「ごむりを仰しゃっては困ります、わたしはただ大きいので召上るというので持って来ますと申しているんですから」
「よし、じゃあおれに汁椀をよこせ」
女が汁椀を取って渡した。六郎兵衛はその蓋をとって女に返し、椀の中の物をいきなり脇のほうへぶちまけた。
「まあひどい」と女がふるえ声で云った、「ずいぶんなことをなさいますね」
「酒を注げ」
六郎兵衛はその椀を差出した。しかし女は返辞もせず、立ちあがるなりばたばたと廊下を走っていった。六郎兵衛は片手を伸ばし、そろそろと燗徳利を捜し、ようやくさぐり当てたが、持とうとすると倒してしまった。