후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
酒井侯と一ノ関との往来も、ここ暫く途絶えているらしい。おそらく、酒井忠清にとっては、もはや一ノ関は無用な存在になったのだろう。兵部少輔宗勝はまもなく悟るにちがいない、自分がどういう役を勤めたか、掴んだと信じていた「形ある」ものが、単なる「影」にすぎなかったということを悟るだろう。
「おれは最後のたたかいに当面している」と甲斐は呟いた、「切札は酒井侯と一ノ関との密約だ、しかし、それを活かすには宮中からの助けが欲しい、上皇(後西院)でなくとも、逢春門院さまの御助言だけでもいい、――それがいま伊達六十二万石のちから綱だ」
甲斐はそう呟きながら、上皇の御性格の弱さを考えていた。それは初めからおそれていたことなのだ。上皇は清明にはおわすが御気性が弱かった。御年十八歳で践祚されたが、御在位ちゅう災異凶事が多く起こり、それは、「今上に御威徳が欠けているためである」という評が立つと、即位されてから僅か七年めに御退位、上皇となられた。京わらべの根もなき評にさえ、耐えられないような御気性では、幕府に圧力をかけるような助言を乞う、などということは不可能かもしれない。
「だが、少なくとも逢春門院さまは」