후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
「慥かに、事は割れた」と雅楽頭は自分に向かって呟いた。
「いまはだめだ、いま強行すればおれの手を焼くだけだ、いや待て、本当にだめか、一ノ関の欲張りはかなりうまくやった、伊達家の内紛はここまでもりあがった、かれらのほうから老中の裁決を乞うて来ている、すっかり膳立はできている、これでも不可能か、これでもおれの手を焼くだけか」
雅楽頭は屹と脇のほうを見た。
――あの証文を忘れるな。
そういう声が、脇のほうで聞えたように思ったのだ。うん、と彼はかすかに呻いた。伊達家中の内紛は、あの一枚の証文、すなわち、「三十万石を分与する」という、兵部宗勝との密約から始まっている。伊達安芸、原田甲斐らはその事実を明らかにするだろう、評定の席で、少なくとも甲斐はやってのけるに相違ない。彼はそこまで考えてきて、また大股に歩きだし、その足の下で床板が荒あらしく鳴った。
「事は割れた」とまた雅楽頭は呟いた、「時期を延ばそう、いまはだめだ、いまは不利だということは慥かだ」
彼は三歩ゆき、五歩戻った。徳川氏万代のために、仙台、加賀、薩摩の三雄藩は邪魔だ。北方と中部と南方に、これら雄藩が安泰にすわっているということは、幕府将来のためになにより好ましくない。