후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
甲斐は黙って目礼を返した。
「証文は持って来てあるか」
「持ってまいりました」
安芸は微笑した、「下馬将軍との鍔ぜりあいだ、この白髪首を賭ける値打はあるぞ」
「私は穏便に済むであろうと思います」甲斐はさりげなく云った、「穏便に事が済むよう、できるだけやってみるつもりです、どうぞ涌谷さまにも、もう一と辛抱をお願い申します」
「酒井侯の出かたによってだ」と安芸は強く云い返した、「堪忍のなる限りは堪忍するが、穏便に済ませるために手を緩めるつもりはない、それだけはいまから断わっておく」
甲斐の眼に突然、がっかりしたような、激しい疲労に似た色があらわれ、額に深い皺がよった。
「このたびのおれの訴訟は」と安芸はだめ押しをするように云った、「事を穏やかにおさめるのが目的ではない、これだけは船岡にも承知しておいてもらうぞ」
甲斐は黙って、あるかなきかに会釈した。
午前十一時ころ、安芸をはじめ柴田外記、甲斐、古内志摩の四人は、蜂谷六左衛門の案内で、竜ノ口にある板倉邸へ向かった。そして約半刻ほど待っていると、酒井雅楽頭から使者があり、「評定は酒井邸でひらかれる」から、伊達家老臣はこちらへ来るように、という口上を述べた。