후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
采女が四人に抱きとめられたまま、それだけはやめろ、と叫んでおり、七十郎の眼から涙があふれ落ちた。
「鷺坂、おまえか」と七十郎が云った、「青根の宿で、ぬすみ聞きをしたのだな」
「平に、平に――」
靱負は泣きながら、手を放して、式台へ平伏した。
七十郎は奥山出雲を見た。出雲は給主の二人と眼くばせをしていた。出雲は七十郎の顔をいちども見なかったし、言葉もかけなかった。そうか、兵部に通謀していたのは出雲だったのか、と七十郎は思った。
「鷺坂、おまえ間違ったぞ」と七十郎は云った、「伊達六十万石のためには、伊東の家などは問題ではなかった、いや、むしろおれたちが本望を遂げ、伊達六十万石が安泰になってこそ、伊東の家名も万代にのこったのだ、おまえは眼が見えなかった、覚えておけ鷺坂、おまえは後悔するぞ」
靱負は平伏したまま泣き、采女が、叔父上、と叫んだ。彼は抱きとめられたままで、どうやら繩はかけられないようすだった。七十郎は鷺坂に、一つだけ頼む、と云った。
「この姿を姉上に見られないようにしてくれ」
彼の頬を濡らした涙は、もうすっかり乾いていた。
宮本節
五月十一日は、甲斐にとっておちつかない日であった。