후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
いつぞやは、酒井忠清と兵部とが取り交わした、三十万石分与の「証文」を売り込もうとした。それはすでに中黒達弥から、甲斐の手に渡っているし、達弥に渡したのは六郎兵衛の妹であった。こんどはなにを売り込もうというのか、それとも、妹から仔細を聞いて、礼金でも貰おうというのなら、湯島へ来たとき呉れてやってもいい、と甲斐は思った。
湯島の家に着くと、おくみに手をひかれて、出迎えていたかよが、片手に赤い折鶴を持って、いきなり甲斐に抱きついて来た。
「いけません、かよさん」とおくみがとめた、「いまそう云ったばかりでしょ、たあたまはお疲れなんですから、すぐに抱っこをなすったりしてはいけませんて」
「かよは小さいんですもの」とかよはすまして云った。甲斐は笑いながら抱いてやった、「そうだ、かよはまだ赤ちゃんだからな」
「赤ちゃんじゃありません、かよたんは五つですからね」
「そうか、小さい五つか」
「小さくはありませんですよ、大きい五つですからね」
「では抱っこをする五つだな」
かよは、ええと、ええと、と口ごもり、甲斐は居間へはいっていって、そら、これでいいだろう、とかよをおろした。