후리가나로 읽는 일본 고전
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 武州公秘話(ぶしゅうこうひわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 107,572자 · 209화면
恐れ入ったような形で畳に額を当てたまゝ畏まっている河内介は、そのあたりに立ちまよう仄かな品のよい薫き物の香に鼻を撲たれて、ひとしお威壓されたように首を垂れた。それは夫人の衣服に沁みている得ならぬ薫香の匂であったか、又、河内介には見えなかったけれども、彼が平伏している頭の近くに小さな書院風の窓があり、その窓の前の棚の上に青磁の香炉が据えてあったので、そこに沈のようなものがひそかに燻ゆらしてあったのかも知れない。
図
「其方は誰です?」
「桐生武蔵守輝国の嫡男、河内介輝勝でござります。………」
彼がそう云った時に、彼の眼の前二三尺の所に堆い襞を盛り上げて重々しくひろがっていた裲襠の裾が、厚い地質の擦れ合うごわ/\した音を立てたのは、夫人が驚きを制しながら心持身を退ったのであった。
「河内介だとお云いか?」
「はっ」
「顔をお上げ」
そう云う夫人の言葉に恐る/\面を上げた青年の武士は、初めて彼が憧憬の的であった女性の姿を仰ぎ視た。が、それでなくても身分の高い人の目鼻立ちをまじ/\と眺めることは出来ないものだのに、まして経験のない青年が遠くから思いを寄せていた異性の前へ出たのである。