후리가나로 읽는 일본 고전
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 武州公秘話(ぶしゅうこうひわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 107,572자 · 209화면
此の珍事は、すでに読者も想像されたであろう通り、外ならぬ河内介の仕業であった。彼の襲撃が斯くも見事に効を奏したのは、桔梗の方の手引きに依ることは勿論であって、夫人と彼とは楓母子を文の使いとして、例の地下道から絶えず音信を交していた。多分母子のうちの一人が、地下道を潜って出口の石崖の隙間か何かにそっと文を挿し込んでおくと、河内介が巡視の折にそれを受取り、やがて又返書をそこへ挿し入れる。そう云う風にして連絡を保ったのであろう。されば襲撃の場所や時刻なども豫め打ち合わせが済んでいたので、河内介は人に訝しまれることなく、短時間のうちに仕事を成し遂げて、無事に石崖の下へ戻って来ることが出来たのである。
尚、彼は則重の傷口へ膏薬を貼ってやったばかりでなく、一通の書面を懐中して行って、それを則重の顔の上へ載せて来た。
某餘儀なき仔細に仍て昨年以来御鼻を狙ひ候処今宵首尾よく本懐を達し満悦不過之候決而々々御命迄は不二申受一これより後は御心安かるべく候
こう書いてあったと云うその書面の文句を、老臣たちはどう解釈したか分らないが、これは河内介の深い用意の存するところで、一旦夫人の委嘱を成就した彼に取っては、速に奥御殿の警備が解かれ、たやすく夫人に接近し得る機会の来ることが望ましいので、こうして城中の不安を除こうと謀ったのであった。