후리가나로 읽는 일본 고전
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 武州公秘話(ぶしゅうこうひわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 107,572자 · 209화면
あった。それで一日も早く自分の居城多聞山へ忰を呼び戻したく、たび/\そのことを筑摩家へ願い出たのであったが、兎角国中に穏かならぬ謡言が専らである折柄、殊に先年月形城の謀叛以来牡鹿山の老臣共は猜疑の念が深くなって、容易に願いを聴き届けようともしなかった。が、人質と云っても幼少の時より今日まで十四五年も城中に養われて、数度の合戦に功名を立て忠勤を抽んでたことでもあり、父の輝国も筑摩家に対し二心を抱く様子も見えなかったから、弘治三年の秋に及んで漸く河内介は父の館へ帰ることを許された。
此の時河内介に取っては、父の膝下へ戻る嬉しさもさることながら、桔梗の方との別離の悲しみも当分は癒し難い痛手であった。必要の前には直ちに本来の武士の魂に立ち返る彼ではあるが、しかし鉄石のような意志にも初恋の味は格別である。況んやその人のためにはあらゆる背徳と忘恩の罪を犯してまで熱情を傾け盡したのに、逢う瀬を楽しめる時が来てから幾程もなく仲を割かれてしまうのである。思うに奥御殿の警備が弛み、彼が自由にかの坑道を通行し得るようになったのが去年の秋頃であったとすると、そのゝち二人が逢っていた期間は僅か一年に充たない。