후리가나로 읽는 일본 고전
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 武州公秘話(ぶしゅうこうひわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 107,572자 · 209화면
鎧と体とが離れ/″\になって、しっくり身についていないのみか、己れを護り人を威嚇する筈の武具が、却って彼自身に無限の苦しみを与えるところの足枷手枷のように見える。そして、そう思って見る時、公の面貌に甚だ悲壮な、惨澹たる懊悩の影が現れ、勇ましい鎧武者の姿が、残虐な桎梏に呻吟している囚人の如くに映じて来る。尚深く疑えば、兜の前立の装飾についても、鬼を蹈まえて立っている帝釈天は公の武勇を表象するものであり、脚下に蹈まれて喘いでいる醜悪な鬼の方も亦或る場合に於ける浅ましい方面の公を暗示するようでもある。もちろん此の絵師はそんな意図を以て畫いたのではなく、公の秘密について何も知る所はなかったのであろうが、たゞ忠実な写実の結果としてこう云う肖像畫が出来たのであろう。
此の絵と対幅を成して、同じ箱の中に入れてある他の一幅は、公の夫人の像である。どちらにも落款はないけれども、同一の畫家がほゞ同じ時に描いたものと推定して間違いはあるまい。夫人はもと桐生家と同格の大名である池鯉鮒信濃守の息女である。夫輝勝に仕えて貞淑のほまれ高く、夫の死後は剃髪して松雪院と称し、実家池鯉鮒家に養われていたが、夫婦の間に子がなかったのでその晩年は殊に淋しく、夫に後るゝこと三年にして世を終った。