후리가나로 읽는 일본 고전
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 武州公秘話(ぶしゅうこうひわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 107,572자 · 209화면
と一同挨拶を述べたけれども、まともに主人の顔を正視した者は一人もなく、皆「はっ」と云ってお時儀してしまった。それに、彼等が甚だ当惑したのは、主人の言葉がとき/″\聴き取れないことであった。傷が固まるに連れて次第にそれも直っては来たが、上唇のまん中が三角に裂けている上に前歯が二三本なくなってしまったので、或る種類の音は、ちょうど鼻のふが/\になった人のそれのように明瞭を缺いた。生理的障害と云えば先ず此れだけが唯一のものであったと云ってよい。
しかしそんなことは、馴れるに従って当人も周囲も一向気に留めないようになるものである。織部正自身も、最初は確かに悲観したらしかったが、いつか家来共も自分の顔を平気で見てくれるようになったし、言葉も巧く聞き取ってくれるので、バツの悪い感じは忘れられてしまい、主にも家来にもそれが当り前のことに思われて来た。中には、跛足で眇眼でちんちくりんの山本勘助の例を引いて、体の器官に不備な所があるのは却って威容を増すものだなどゝ云う風に上手に吹っ込む者があると、だん/\当人も慰められて、「それもそうだ」と云う気持になるらしかった。