후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
「いや、その挨拶はやめてくれ。乳母はおれの留守にたびたび来たそうだから、大抵の話は聴いているだろう。くどくは言わない。当分この女を預かってくれ」
言う尾について女も軽く会釈した。
「わたしは大菱屋の綾衣でおざんす。お前がたの頼もしいことは、主からもかねて承わっていやんした。どうぞよろしく頼みんす」
お時は挨拶に困って、ただ「はい、はい」と、幾たびか頭を下げていた。十吉は呆気に取られて、透き通るように白い女の顔をぼんやりと眺めていた。
箕輪田圃の雨にぬれて、この百姓家へ不意に押し掛けて来た二人は、言うまでもなく駈落ち者であった。大菱屋では綾衣の客はますます落ちる。外記はしげしげかよって来る。二人がだんだんに行き詰まって来るのはもう眼に見えているので、はらはらしながら見張っていると、綾衣が新造の綾浪に頼んで蒔絵の櫛と笄とを質に入れさせた。それは外記のためであるということが判ったので、かねて機会を待っていた大菱屋ではこれを究竟の口実にして、すぐに茶屋に通じて外記を堰いた。
茶屋は年来の馴染みであるから一応は抗議を申し込むべきであったが、これも二人が昨今の突き詰めた有様に不安を懐いていたので、当分は足をお抜きになった方がお二人さんのお為でござりましょうと、外記にも意見した。