후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
勿論、それは一時の言い懸りではあろうが、もし果たしてその通りに二人が不二屋へ押し掛けて行ったら、お里は一体どうするであろう。それを考えると、林之助はおかしくもあり、また気の毒でもあった。そのお里はなんにも知らずに自分と一緒にあるいている。人目には妬ましく見えそうなこの姿を、お絹が見たらなんと思うであろう。林之助は自分のうしろから蛇の眼がじっと覗いているようにおののかれて、俄かにあたりを見まわすと、明るい月は頭の上から二人をみおろして、露の沁み込んだ大道の上に二つの影絵を描いていた。夜ももう更けているらしかった。
「いつも一人で帰るの」
「いいえ」
列び茶屋の或る家に奉公しているお久という女がやはりお里の近所に住んでいるので、毎晩誘いあわせて一緒に帰ることにしていたが、きょうはその女が店を休んだので、お里は連れを失って寂しく帰る途中であった。彼女が顔馴染みの林之助に声をかけたのも、ひっきょうは帰り途のさびしいためであった。この頃、柳原の堤に辻斬りが出るという物騒な噂があるので、お里はそんなことを言い出して足がすくむほど顫えていた。しかしそれは闇夜のことで、昼のように明るい月夜に辻斬りなどがめったに出るものではないと、林之助は力をつけるように言い聞かせた。