후리가나로 읽는 일본 고전
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
蘭 郁二郎의 火星の魔術師(かせいのまじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 151,120자 · 302화면
「いや、いいよ」
木曾は、はげしくかぶりを振ると、思い出したように歩き出した。
「――いいよ、自分のことは自分でする」
研究所の中庭の、杜鵑花の咲いているコンクリートの池を廻って、すたすたと自分の室に帰って行った。親切にいってくれた長田には済まないようだけれど、木曾は、とても話をするのでさえおっくうだった。早く独りになって、眼をつぶって見たかった。
実験室はガランとして部屋の者は誰もまだ帰っていなかった。いまの所長の発表に、所員たちはきっと其処此処に一かたまりずつになって、噂の花を咲かせているのであろう。おそらく今日一日は、誰も仕事が手につくまい――。木曾は、その誰もいない実験室を横眼で見ると、頬を歪めたまま通り抜けた。そして隣りの自分の部屋のドアーを、突飛ばすようにして潜り、デスクの前の廻転椅子にドサリと腰をおろした。デスクに肘をのせ、頭を抱えるようにして眼をつぶると、外庭の植込みの方で何やら話しあっている所員たちの弾んだ話声が途切れ途切れに聞えていた。
「あの、どうかなさったんですか、木曾さん……」
「エ?」
誰もいないと思っていた木曾は、その突然の声に、ぎょっとして振り向いた。