후리가나로 읽는 일본 고전
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ちちぶのけいこくび
秩父の渓谷美
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 秩父の渓谷美(ちちぶのけいこくび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,963자 · 10화면
私が後になって友の二人と初めて東沢の奥を探ろうと思い立ったことを遡って考えて見ると、雁坂峠の登り口の赤志から、暗示に富んだ其山の姿を望見した時の印象に負う所が多いのに気がつくのである。
斯くて秩父の山や谷が私に与える感じは、情緒的であり女性的である。ここでは岩石といわず草木といわず、総てのものが氷や雪との激しい闘争から、いじけたりくねったり、裂かれたり削られたりした、荒い力強い姿は見られない。山上の湿地や乾燥地にそれぞれ咲きほこっている美しい花の集合であるお花畑もなければ、山肌を飾る万年雪の冴えた輝きもない。其代りに一つ唯一つ、ゆかしい苔の匂と木の香とに満ちた、稍陰鬱に過ぎるとさえ思われる深林が、山麓から比較的高度の大きい山頂までも掩うている。そしてこの深林こそは、秩父の渓谷を美ならしむる要素を成しているのである。
秩父の奥山に一たび足を踏み入れた人は、誰でも秩父の特色は深林と渓谷にあることを心付かない者はないであろう。それ程秩父では此二者が密接な関係を有している。深林あるが為に渓谷は愈々美しく、渓谷に由りて深林は益々其奥深さを増してゆくので、二者孰れか一を欠いても、秩父の特色は失われなければならぬ。