일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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むし

虫

江戸川 乱歩

江戸川 乱歩의 虫(むし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,053자 · 86화면

아오조라 문고

大人の柾木が大人の文子を眺める目は、最早や昔の様に聖なるものではなかった。彼は心に恥じながらも、知らず識らず舞台の文子を汚していた。彼女の幻を愛撫し、彼女の幻を抱き、彼女の幻を打擲した。それは、隣席の池内光太郎が彼の耳に口をつけて、囁き声で、芙蓉の舞台姿に、野卑な品評を加え続けていたことが、彼に不思議な影響を与えたのでもあったけれど。

サロメが最終の幕だったので、それが済むと、彼等は劇場を出て、迎えの自動車に這入ったが、池内は独り心得顔に、その近くのある料理屋の名を、運転手に指図した。柾木愛造は池内の下心を悟ったけれど、一度芙蓉の素顔が見たくもあったし、サロメの幻に圧倒されて、夢うつつの気持だったので、強いて反対を唱えもしなかった。

彼等が料理屋の広い座敷で、上の空な劇評などを交わしている内、案の定、そこへ和服姿の木下芙蓉が案内されて来た。彼女は襖の外に立って、池内の見上げた顔に、ニッコリと笑いかけたが、ふと柾木の姿を見ると、作った様な不審顔になって、目で池内の説明を求めるのであった。

「木下さん。この方を覚えてませんか」

池内は意地悪な微笑を浮べて云った。