후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
むし
虫
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 虫(むし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,053자 · 86화면
しめ切って、家人の這入って来ない様にして、そこで小説本と、荒唐無稽な幻想の中に、うつらうつらと日を暮らしていたものだし、大学時代には、進級試験を受ける時の外は、殆ど教室に這入ったことがなく、と云って、他の学生の様に様々な遊びに耽るでもなく、自宅の書庫の、買い集めた異端の書物の塵に埋まって、併し、それらの書物を読むというよりは、虫の食った青表紙や、十八世紀の洋紙や皮表紙の匂いをかぎ、それらの醸し出す幻怪な大気の中で、益々嵩じて来た病的な空想に耽り、昼と夜との見境のない生活を続けていたものである。
その様な彼であったから、後に述べるたった一人の友達を除いては、まるで友達というものがなかったし、友達のない程の彼に、恋人のあろう筈もなかった。人一倍優しい心を持ちながら、彼に友達も恋人もなかったことを、何と説明したらよいのであろう。彼とても、友情や恋をあこがれぬではなかった。濃やかな友情や甘い恋の話を聞いたり読んだりした時には、若し自分もそんな境涯であったなら、どんなにか嬉しかろうと、羨まぬではなかった。だが、仮令彼の方で友愛なり恋なりを感じても、それを相手に通じるまでに、どうすることも出来ぬ障害物が、まるで壁の様に立ちはだかっていた。