후리가나로 읽는 일본 고전
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
野村 胡堂의 銭形平次捕物控(九) 全十冊(ぜにがたへいじとりものひかえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 41,029자 · 82화면
三
声を掛けようとする八五郎を押えて平次は、しばらく待ちました。立ち停ると首筋へ初夏の陽がほのぼのと射して青葉の風が爽やかに頬を撫でます。
一とくさりの経が済むと、後ろの物の気配に誘われたものか、女は斜に後ろ手を突いて、静かに振り返りました。実に美しいポーズです。
「まア、八五郎親分」
そう言って頬を染めた様子、振返る所作が切髪に波打たせて、額を撫でる艶やかさは比類もありません。
両国で一としきり鳴らした茶くみ女のお半は、銭形平次も満更知らない顔ではありませんが、紅白粉を抜きにして、白襟、黒っぽい袷、暗い紫の帯に、輪袈裟を掛けた清らかな姿は、全く予想もしなかった、神々しくも艶やかなものでした。世の浮気女に一と眼この姿を見せたら、自分というものの美しさを強調するために、十人の八九人まで、黒髪を切って袈裟を掛ける気になるかも知れません。
三
また次の一か月は過ぎました。端午の幟が見えなくなって、川開きの噂が江戸ッ子の口に上るころ。
「わッ、大変ッ、親分」
とうとう八五郎の大変が飛込んで来たのです。
「こんどは何が始まったんだ。お前の大変が久しく来ないから、悪い風邪でも流行らなきゃいいがと思っていたが――」