후리가나로 읽는 일본 고전
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わし
鷲
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 鷲(わし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 144,476자 · 290화면
いよいよ輿入れという日の前夜に、お妻は文次郎を呼んでささやいた。
「去年あの経帷子を流したのは海辺のどこらあたりか、お前はおぼえているだろう。今夜そっと私を連れて行ってくれないか。」
文次郎は何だか不安を感じたので、その場はいったん承知して置きながら、お峰にそれを密告したので、かれも一種の不安を感じた。よもやとは思うものの、いよいよあしたという今夜に迫って、万一身投げでもされたら大変であると恐れた。
「おまえは海辺へ何しに行くのだえ。」と、お峰は娘をなじるように訊いた。
「唯ちょいと行ってみたいのです。決して御心配をかけるような事はありません。」
「それじゃあわたしも一緒に行くが、いいかえ。」
その日も朝から細雨が降っていたが、暮れ六つごろからやんだ。店口は人出入りが多いので、お峰親子は裏木戸から抜け出すと、文次郎は路地口に待合せていて、二人の先に立って行った。高輪の海岸は目の先である。
時刻はやがて五つ(午後八時)に近い頃で、雲切れのした大空には金色の星がまばらに光っていた。海辺の茶屋はとうに店を締めてしまった。この頃は世の中が物騒になって、辻斬りがはやるという噂があるので、まだ宵ながらここらの海岸に人通りも少なかった。