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あたまでっかち

あたまでっかち

下村 千秋

「赤い鳥」1935(昭和10)年2~4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 页

青空文庫

一四

あんないい子をまい子にしてしまってはたいへんです。わたしもいっしょにさがしますから。」

と、外へ出ようとします。

「いや、おまえは病人だからむりをしないでおくれ。わしがひとりでさがす。きっとさがしだしておまえのところへつれてくるから、気をもまないで待っていておくれ。」

おとっつあんはそういいおいて、また自転車にとびのり、町の中へ走りだしました。

それからおとっつあんは、無我夢中で町中を走りました。が、どこにもそれらしい姿が見えないと、町はずれを、東へも南へも、北へも西へもでてみました。だが、それでも見あたりません。

おとっつあんはもう気がくるいそうになりました。それで、まっくらな原っぱへ出たりすると、大きな声をだして、

「林太郎やあー……林太郎やあー……。」

と、どなりました。

そのうちに夜はふけてきました。おとっつあんはもう声もかれはてて、林太郎をよぶこともできなくなりました。

一四

そうして、あるまっくらな道をよろよろと走っているときでした。どこからか一ぴきの白い犬が走りよってきたかと思うと、おとっつあんの足へかみつくようにしてほえたてるのです。見るとそれはしろ公ではありませんか。