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あたまでっかち

あたまでっかち

下村 千秋

「赤い鳥」1935(昭和10)年2~4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 页

青空文庫

おとっつあんは自転車から飛びおり、

「ああ、しろ公だ、しろ公だ。林太郎はどこにいるのだ?」

と、しろ公をだいてさけびました。するとしろ公は、悲しいような、うれしいような声で、くうーんくうーんとなきながら、自分のからだをおとっつあんの胸へすりつけて、それからまっくらな道を走りだしました。

「ああ、そっちか。ありがとう、しろ公。ありがとう、しろ公。」

おとっつあんはいいながら、自転車でその後についていきました。

しろ公は、そのようにして、林太郎がゆきだおれている湖の岸へ、おとっつあんをりっぱに案内したのです。おとっつあんは、倒れている林太郎をだきあげると、

「林太郎やあ……林太郎やあ……。」

声かぎりよびました。林太郎はその声でやっと目をあけました。そして、おとっつあんだと知ると、

「おれ、もう死んじゃうんだよ。」

と、いいました。

「ばかなことをいうでねえ。」と、おとっつあんは林太郎のからだをゆすぶり、「おとっつあんが迎いにきただ。もう、だいじょうぶだからしっかりするんだぞ。」

「おれ、おとっつあんなんぞいらない。おっかさんだ、おっかさんだ……」

「だから、おっかさんとこへつれていくだ。