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いさましいはなし
いさましい話
山本 周五郎
「講談雑誌増刊号」博文館、1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,835 字 · 73 页
事件の始末は江戸へ報告されたが、その裁決より先に、敦信から「歳出切下げ」に関する墨付が来た。
禍いが福になったといおうか、国許ではこの出来事が負債になったかたちで、はたしてこの状態を続けてゆけるかどうか、そこはまだ疑わしいと思うけれども、とにかくこの変化には希望をもってよい、相当なところまでゆけるということを玄一郎はみてとった。
三月中旬に新しい作事奉行として、八木隼人が赴任して来た。続いて大目付の沢田貞蔵が、事件に対する敦信の裁決をもたらし、関係者の罪科が定った。
津田庄左衛門 家禄召上げ放国。
吉川左次馬 右に同じ。
益山、三次、上原、そして中野市之丞らは食禄を削られたうえ、それぞれの親族へ永の預けとなった。津田は主謀者であり、吉川は勘定奉行を詐称したことで罪が重かったのだろう。
玄一郎は津田といちど会いたかった。せめて退国するときにでもと考えていたが、やっぱり会わないほうがいいと思い、津田と吉川の追放される日には、八木隼人と二人で望水楼へゆき、久方ぶりにくつろいで飲んだ。
「やったね、たいした度胸だ」
八木は赴任して来たとき云ったことを、また繰り返した。