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いさましいはなし
いさましい話
山本 周五郎
「講談雑誌増刊号」博文館、1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,835 字 · 73 页
十三
益山郁之助は二人が去ったあとそこで自殺し、ほかの四人は出奔したので、身柄を預かった親族はそれぞれ咎めを受けた。
鉄砲を射った者はわからなかったが、あまり評判が高く詮議が厳しくなりそうなので、自分で怖れをなして行方をくらました。それは玄一郎の下僚で、もと益山に使われていた安倍又二郎という若者であった。
玄一郎は傷が膿んだりして、それから夏いっぱい休み、ようやく治って、起きられるようになったときは、もう秋風が立ちはじめていた。
十三
かさねがさね国許の者が迷惑をかけたという意味だろう、病中は和泉図書助はじめ重臣老職の人々がだいぶみまいに来たし、全快したと聞くと、祝いの挨拶や贈り物がいろいろ届けられた。
「すっかりにんき者におなりになって」
松尾は贈り物の多いのにびっくりした。幾らか嫉妬めいた気持を唆られたようすで、すねたようなしおのある顔で良人を睨んだ。
「これから夫人がたのお招きにはわたくし必ず伴れていって頂きましてよ」
「――びっこでもよければね」
「仰しゃいまし、ちょっと足を曳いてお歩きになる姿はずいぶん伊達でございますわ、御自分でもそう思っていらっしゃるのじゃございませんの」