轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いしがおごる
いしが奢る
山本 周五郎
「サンデー毎日臨時増刊仲秋特別号」毎日新聞出版、1952(昭和27)年10月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,304 字 · 45 页
勘兵衛の役目はうまくいった。外島と十六人の暴徒は宿所を襲ったが、留守をしていた下僕たちは巧みに逃げた。又兵衛は失敗したことを知ると、宿所に火を放って焼き、そのままどこかへ逃亡した。暴徒のうち五人の者は捕えられたが、あとの十一人と又兵衛とは行方が知れなかった。――八幡屋万助、島屋真兵衛、青木重右衛門の三人は、それぞれ手代と共に城中へ移され、暴徒に加担したという疑いで、そのまま軟禁された。
この報告を聞くあいだも、保馬はいしから離れることができなかった。彼がちょっとでも動くと、いしの手は激しい力で絡みつき、怯えたように眼をあけて、彼を見た。
「大丈夫だ、どこへもゆきゃあしないよ」
保馬は顔を寄せておちつかせた。
「此処にいてやるから眠るんだ、もうなんにも心配することはないんだよ」
勘兵衛は囁き声で報告し、終るとすぐに部屋から出ていった。その少しあとで、いしがかなりはっきりとうわ言を云った。
「――ええいいわ、いしが奢るわ」
低いかすれ声であったが、言葉ははっきり聞きとれた。保馬はそっと微笑し、それに答えるように頷いた。――夜半ごろだったろう、いしはふっと眼をさまして、喉が渇いたから水が欲しいと云った。