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いなか、の、じけん
いなか、の、じけん
夢野 久作
「探偵趣味」「猟奇」1927(昭和2)年7月~1930(昭和5)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,535 字 · 78 页
感違いの感違い
その罪を浄めてやるから舌を出せ。もそっと出せ。出さぬと金縛りだぞ……そうだそうだ……」
こう云いつつその舌に顔をさし寄せて、ジッと睨んでいた不動様は、不意にパクリとその舌を頬張ると、ズルリズルリとシャブリ初めた。
女は衆人環視の中で舌をさし出したまま、眼を閉じてブルブルふるえていた。すると不動様は何と思ったか突然に、その舌を根元からプッツリと噛み切って、グルグルと嚥み込んでしまった。
女は悶絶したまま息が絶えた。
あとで町から医者や役人が来て取調べた結果、不動様の脳髄がずっと前から梅毒に犯されていることがわかった。
この事実がわかると、その村の不動様信心がその後パッタリと止んだ。不動様を信仰すると梅毒になるというので……。
感違いの感違い
駐在巡査が夜ふけて線路の下の国道を通りかかると、頬冠りをした大男が、ガードの上をスタスタと渡って行く。何者だろう……とフト立ち停まると、その男が一生懸命に逃げ出したので、巡査も一生懸命に追跡を初めた。
やがてその男が村の中の、とある物置へ逃げ込んだので、すぐに踏み込んで引きずり出してみると、それは村一番の正直者で、自分の家の物置に逃げ込んだものであることがわかった。