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おれのにょうぼう
おれの女房
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1949(昭和24)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,296 字 · 46 页
島田敬之助も、こう云って膝を叩いた。まるで膝の上にその風俗があるかのように。それからどんなようなことになったものか、気がつくと吉原の小店のひと間に寝ていた。まえにもたびたび来たことのある家で、その狭い、うす汚れた部屋にも見覚えがあった。
――またやった、情けないやつだ。
彼は眉をしかめ唇を歪めて、嫌悪に堪えぬように頭をぐらぐらさせた。悔恨というより、自分がきたならしく、いやらしく、やりきれないほど情けなかった。
――側に寝ていた女がふと首をあげた。――もぞもぞ身動きをして、そうしてこちらへ向きなおった。
「眼がさめたの、気持はどう、――苦しいのなおった」
「たいしたことはない、伴れはどうしたろう」
「みんなあっちにいるわ、水あげましょうか」
又五郎は女の顔を見ることができなかった。
「いまなん刻ごろかね」
「まだ早いわよ、今日もいつづけだって云ってたじゃないの、――お酒とうにここへ持って来てあるのよ、ちょっとお燗しましょうか」
「いや酒はもういい」
彼は起きて手を洗いにいった。連子窓の障子がうっすら白んでいるようにみえた、頭は濁り、躯はふらふらし、なにかのぬけがらのような感じである。