轻松读懂日语经典作品
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おれのにょうぼう
おれの女房
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1949(昭和24)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,296 字 · 46 页
「おれの写生帖がないんだ、この机の上へ置いた筈なんだが」
「置いた筈ならそこにある筈じゃないか、置いたところを捜してみればいいじゃないか、いつでもそうなんだから、いやなにがない、なにはどこへ置いた筈だ、ない筈はない、滑ったの転んだのって、置いた筈なら置いたところを捜せばいいじゃないか、いけないよそんなところをひっくり返しちゃ、だめだってばさ、そんなとこに有りやしないよ、触っちゃいやだってのにね、あたしがちゃんと片づけといたんだからひっかきまわしちゃだめだよ、いけないってのにわかんないのかね、このひとは」
「――ここに有ったじゃないか」
「有ればいいじゃないか、有れば文句はないじゃないか、此処に有っただって、あたしが片づけといたんだもの有るに定ってるじゃないか、机の上へ置いた筈だのどうだのこうだのって、があがあがあがあ、騒ぐばかり大げさに騒いで、そうしちゃしまいにあたしに手数ばかりかけるんだ、いつかだっても――」
又五郎は黙って部屋の中を眺めまわす。
台所ではお石の甲だかい叫びが、ひっきりなしにいつはてるともなく続いている。不揃いな絵の道具、いじけたような安物の木机、角の欠けた茶箪笥、火桶、炭取り――家具といえるのはそれで全部だ。