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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

第七回

万事実質主義で押し通す。鯱おこしと来たら兵営の残飯で拵えるそうだから甚だ実質的だ。昼には姪達が名古屋特有のものばかり差上げる積りで仕度をしているよ」

「御賢兄のお宅へ種々と御厄介を掛けるね」

とお父さんが言った時、大きな午砲が鳴った。流石に団さんの引き廻しだ。予定通り十二時きっかりに帰り着いたには感服した。

第七回

「大きな川だなあ! 何川でしょう?」

と僕が言った。

「木曽川よ」

と先刻から地図を見ていた田鶴子さんが教えてくれた。

「御参宮でございますか?」

と品の良い老人が三輪さんに話しかけた。すべて汽車の中の交際は行先地の質問から始まる。

「えゝ、あなたも矢張り?」

と三輪さんが応じた。

「はい。伊勢路はお初めてでございますか?」

「えゝ」

「然うですか。私は四十何年振です。何しろ二十一か二の時で、明治十四年か十五年でしたからね。随分古いことですよ」

「はゝあ、私が漸く生れたか生れない頃ですな」

若し数学に多少の真理があるとすればこの老人は「これでも年だけは人並に取ります。もう六十三ですよ」と喞ち、三輪さんは「当年四十一の青二才でございます」と謙遜したことになる。