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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

第十一回

「否、この髪の毛は此処の建築の時材木を曳く綱に婦人信徒が寄進したのですよ。女の髪の毛には大象も繋がるとか言って、髪で撚った綱は大変丈夫なものだそうです」

「宗教も程度問題だね、斯ういうことになると官憲の取締を要するよ」

と団さんは不承知だった。

「地方から来る善男善女の中には宿賃を踏み倒してもお賽銭を余計上げたがるのがある。お前達の上げるお賽銭で坊主が道楽をするんだと言って聞かせれば、生仏様に御道楽をして戴くのなら尚更のことゝ又財布の口を開ける。始末に負えない。しかし代々日本人が斯うまで打ち込んでいるには確かに何かあるんだね。僕等門外漢でも懐かしい気がするよ」

「何があるもんか、少しのお賽銭で自然法を自分の都合の好い方へ抂げようという横着な料簡があるばかりさ」

第十一回

満員の電車が喧しい警笛を鳴らして頻繁に通る。大阪は郊外生活が東京よりも早く発達したと小川さんが力説したが、成程盛んなものだ。殆ど軒の並んでしまった阪神間は論じるまでもなく、此方側丈けでも斯ういう風に田園と都会を繋ぐ線路が三四本あると言った。今この慌しい鈴実り連中も大阪発展の一縮図だ。彼等は皆金さえあれば何処も住吉とばかりに巣を郊外に食っていて、夜の明けるのを合図に、ぼろいことを探しにワイ/\押し合って市内へ繰り込む。