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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
「麦茶粥に小豆茶粥に芋茶粥と。ナカ/\種類がありますな」
「まだ餅茶粥というのがあります。これは主に冬分寒さ凌ぎに喰べます」
「餅茶粥と。これで五つになりますな。お待ち下さいよ。餅茶粥は寒さ凌ぎと。冬は矢張り寒いですか?」
「寒いの何のと申して、『伊賀の上野は高丘で寒い』と昔から歌にもなっているくらいで、随分底冷えがします。そこへ持って来て皆天井の映るような粥腹でしょう。小便が出ざるを得ませんや。関東の連れ小便といいますが、実は伊賀の連れ小便です。中学生等も登校の途中、『おい、小便しようか?』と言い出すのが一種の礼節になっています」
と松本さんはお粥から又本題へ戻ったが、
「いや、遅参の申訳からとんだ尾籠な話になってしまって恐縮です。これからはもっと綺麗なところを申上げましょう。伊勢からお出になると何誰もまず此方の人の色の白いのに驚くそうですが、実際伊賀はこれで美人系ですからね。この町にも随分綺麗な女がいます」
「然うですかな。ついうっかりしていて気がつきませんでしたよ」
と団さんが言った。
「それで根上君も見惚れたんだね。しかし君は美人系らしくもないじゃないか。