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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

例によって頓珍漢だね。道中気をつけて自動車にでも轢かれないようにし給えよ」

と窘めて、

「ところで坊ちゃんに何かお土産を差上げたいのですが、あゝいうものは何うですか?」

と床の間に置いてあった瓦を指さした。

「大極殿のかね?」

とお父さんが訊くと、

「然うさ、真正の掘り出し物さ」

と南さんは戸棚の中から夥多撰り出して来て、

「坊ちゃん、こんな断片ばかりですけれど、これでも東京へ持って帰ってその道の人に見せると涎を流しますよ。『お土産に瓦』は洒落ているでしょう? 舌切雀だ。重いですよ」

折から車屋からもう余り時間がないという注進が来た。患者も何うやら二三人溜ったらしかった。

「こんな厄介なものを真正に御迷惑でしょうにね」

と奥さんが瓦の断片を新聞紙に包んでくれる間も南さんは、

「京都まで案内ながら行きたいんだが、生憎丁度今夜あたり危い患者が一人あるんでね」

といかにも本意ないようだった。

「また会うさ。東京へ診察に来た時には是非寄り給え」

とお父さんは一矢酬いたが、緋縅の鎧には通らなかった。

日程によると宇治を見物する筈だが、秘書役二人の不在中に何う模様が変ったのか、僕達は驀地に京都へと志した。