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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

一級俸は理想で到底現実世界の問題でないと観念している。ペテンにかゝっていながら少しも気がつかないから可哀そうなもんだよ」

「益※(二の字点、1-2-22)手厳しいな」

「正にペテンだね。国家的大ペテンだ。僕は東京へ帰って新聞社へ入る。然うしてこのペテンを広く天下に訴える積りだ。生きた一級俸が続々出来るのを見るまでは決して教員になるなと言って有為の青年の間を説いて歩く。教育者になったばかりに自分の子弟の教育に差支えている人が現在随分あるからね」

「大いにやるべしだよ。社会の為めだ」

「僕もペテンにかゝっているのか知ら?」

と同じく先生の三輪さんが考え込んだ。

「然うさね。私立は都合の好いところ丈け官立を標準にするから、矢っ張り間接ペテンだろうね」

と柴さんは断定して、

「未だ早いけれど新京極でも見ながらブラ/\出掛けようか」

麩屋町から新京極は目と鼻の間だった。うっかりしているとすぐ足を踏まれそうな人出で、こゝは毎晩斯うだそうだ。活動写真館の前で柴さんは孫の手を引いた白髭の老紳士に行きあって挨拶を交した。

「同僚だね?」

と団さんが尋ねた。

「然うだ。あの人は頭の毛の色素がなくなるまで勤続してこの頃漸く三級になった。