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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

それでも異数の昇進として羨望の的になっているぜ」

と柴さんはまだ文部省のペテンを問題にしていた。僕は振り返って老紳士を目送しながら、教員には決してなるまいと決心した。

日本橋通りのような四条へ出て大橋を渡り、祇園へ折れて歌舞練場へ入った。待っている間に白粉をコテ/\と塗ったお凸の舞子が薄茶とお菓子を持って来た。

「この串団子の模様が祇園の表象ですよ。これは持って帰って宜いのです」

と柴さんが土器の菓子皿を指して教えてくれた。成程、団子の絵が描いてある。

「戴いて行きますわ」

と田鶴子さんはお菓子諸共粗末な皿を紙に包んだ。

やがて踊りが始まった。三十名に余る妙齢の女が着飾って舞うのだから綺麗には相違ないが、要するに同じことばかりなので、僕は間もなく倦きてしまった。背景丈けは他に類がない。何処の風光でも宛然実物に接する感を催させる。日本一の美人市場と聞き及んだが、両側の囃し方と正面の舞子が幾度代っても、生菩薩らしいものは一人も見当らなかった。

「案外つまらないもんだね」

とお父さんも退屈したようだった。

「好いさ。綺麗じゃないか」

と三輪さんは嬉しがっていた。