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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
そして鯉の弱ったところを揚げて行きました。魚は口が利けまへんやろ。『泥棒』とも何とも言いません。楽なもんや」
「そうして鯉取りは捕ったのかね?」
「捕りました。三人がかりで荷車に二台取ったんどすて。皆三尺からのばかりどす。何と好い商売じゃおへんか。生物じゃて長く置けんに売り急いださかい足がついて……」
と番人は僕達が歩き出しても未だ池を相手に話していた。
嵐山への途中太秦寺というのに寄った。
「こんな門がこれで保護建造物だからね」
と星野さんが古い山門を指して言った。
「これが蚕の社でございますか?」
と田鶴子さんが尋ねた。蚕の社へ詣れば絹物に不自由しないと今しがた聞いたので、お賽銭を上げる積りらしかった。女は大陸文学の誤訳を愛読して新しがっても、問題が美容のことになると一溜りもない。鼠の天麩羅の香を嗅がされた狐のように忽ち理性を失ってしまう。
「否、これは太秦の広隆寺といって、何でも支那の帰化人に関係のあるところですよ。昔支那から各種の職工が大勢渡って来てこの辺に落ちついたそうです。太秦という名が何となく日本らしくないでしょう?」
「然うでございますね」
「日本らしくないこともないさ」