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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

と少時してから三輪さんが然も好ましそうに言った。

「京都は実際子供が能く出来る。星野君のところなんかは信者の出来ない年はあっても子供の出来ない年はないようだ」

と柴さんが素破抜くと、星野さんは、

「手厳しく来たね。一言もないよ。実は八人目が近々生れるのさ」

と告白に及んだ。

「それはお目出度い。それじゃ少くとも八人丈けは信者を拵えたことになるじゃないか。決して悪い成績じゃないよ」

と三輪さんが真面目になって慰めたので奥さんまで大笑いをした。

病人のあるのにお気の毒だからと柴さんをその模擬家庭に残したまゝ僕達は間もなくお暇をした。八ツ橋は生に限ると今がた味を覚えたその生のを沢山買い込んで、熊野神社前の停留場へ来ると人群りがしていた。

「車掌と学生の喧嘩だ。これは面白い」

と星野さんは掘り出し物でもしたように言った。牧師さんで納まり返っていても時々野性を発露する。尚お驚いたことには最も物見高くない筈の団さんが忽ち人を押し退けて論判の現場へ割り込んだ。丁度その折一紳士が、

「この方は下りない中に私の肩越しに手を伸して確かに渡しましたよ」

と仲裁に入った。

「否、受取らいまへん」